人材が育たない原因は「仕組み」の欠如?経営者・管理職が今すぐやるべきこと

人材が育たない原因は「仕組み」の欠如?経営者・管理職が今すぐやるべきこと
目次

人材が育たない職場の典型例とは?見逃せない3つのサイン

「うちの会社は、人材が育っていないのかもしれない」。
そう感じてはいても、何をもってそう判断すれば良いのでしょうか。

ここでは、人材が育たない職場で共通して見られる3つの危険なサインを解説します。

サイン①:若手・中堅社員の離職率が改善しない

成長意欲の高い優秀な社員ほど、「この会社にいても成長できない」と感じたとき、あっさりと見切りをつけてしまいます

若手や中堅社員の離職率が高い、あるいは改善しない場合、それは組織が社員の成長期待に応えられていない可能性があります。
結果として、採用コストは増大し続け、ノウハウは社内に蓄積されず、常に人手不足という悪循環に陥ってしまいます

サイン②:管理職がプレイング業務で疲弊している

「部下に任せるより、自分でやった方が早い」。
そう言って、管理職がいつまでも現場の最前線でプレイング業務に追われていませんか?

この状況は、単に部下の能力だけの問題ではありません。むしろ、仕事の任せ方や育成の仕組みといったマネジメント体制そのものが機能不全に陥っているサインであり、結果として管理職の疲弊を招いています。

管理職がプレイヤー業務に忙殺されると、本来最も注力すべき「部下の育成」や「チームビルディング」といったマネジメント業務に時間を割けなくなります。
その結果、部下はさらに育たず、管理職の負担が増え続けるという負のスパイラルに陥ってしまいます。

サイン③:新しいアイデアや挑戦が生まれない

組織全体が、指示待ちの姿勢になっていませんか?
あるいは、失敗を過度に恐れるあまり、誰も新しいことに挑戦しようとしない「安全第一」の空気が蔓延していないでしょうか?

こうした状況は、社員の主体性や挑戦する意欲が育っていない証拠です。目先の業務は回っていても、このような組織は事業を硬直化させ、激しい市場の変化に対応できなくなるという、深刻なリスクを抱えています

なぜこれらの例が起きるのか?育成を阻む「個人・仕組み・文化」3つの壁

ここまでに挙げた3つの例は、それぞれ独立した問題に見えるかもしれません。
しかし、その根源をたどると、「個人」「仕組み」「文化」という、相互に関連し合う3つの大きな壁に行き着きます。

この章では、問題の構造を明らかにするために、それぞれの壁について解説します。

【個人の壁】管理職の育成スキル不足とメンバーの受け身姿勢

メンバー、特に若手社員の育成において、直属の上司の影響は絶大です。
しかし、多くの管理職(マネージャー)は、プレイヤーとして優秀だったために抜擢されたケースが多く、育成の専門的なスキルを学んだ経験がありません

その結果、「良かれと思って」マイクロマネジメントに陥り、部下の主体性を奪ってしまったり、逆に「背中を見て学べ」と放置してしまい、成長機会を損失させたりするのです。
この「教えすぎ」と「放置」の両極端が、若手の成長を阻害する大きな原因となっています。

【仕組みの壁】評価制度・研修・1on1が形骸化していませんか?

「人事制度は一通り導入しているのに、なぜか機能しない」。
これは、人事担当者が抱える典型的な悩みです。その原因は、制度が「あるだけ」で、「仕組み」が浸透していないことにあります

例えば、評価基準が曖昧で上司の好き嫌いで決まってしまう評価制度、実施することが目的化している研修、ただの進捗確認と化している1on1ミーティング。これらはすべて、現場の納得感を得られず、形骸化してしまいます。
育成は、単発の施策ではなく、連動した「仕組み」として機能して初めて効果を発揮するのです。

【文化の壁】「見て学べ」「失敗は許されない」空気が成長を阻害する

最も根深く、そして最も解決が難しいのが「文化」の問題です。

挑戦を推奨しているのに、一度の失敗を厳しく責める雰囲気がある。
部門間の連携がなく、有益な情報が共有されない。

こうした目に見えない「空気」が、社員の挑戦意欲や学習意欲を静かに、そして確実に奪っていきます。特に、創業期の「気合と根性」の文化から脱却できずにいる企業は注意が必要です。組織が拡大するフェーズにおいては、その文化が逆に成長の足かせとなってしまうのです。

メンバーの成長は、まず管理職の育成から

ここまで見てきたように、人材育成の問題は複雑ですが、その解決の糸口となる存在は明確です。

それが「管理職」です。経営と現場、制度と実態、文化と行動。そのすべてを繋ぐ「結節点」、つまり組織のへそのような重要なポジションを担う管理職の育成こそが、組織全体の成長にレバレッジを効かせる効果的な一手となります。

なぜ管理職の育成が最優先なのか?組織の壁を乗り越える結節点としての役割

成長ベンチャーにおいては、管理職にはプレイヤーとして数字を作り、チームとして目標を達成する組織を率いることも強く求められます。しかし、それと同時に、経営者が掲げる理念やビジョンを現場に浸透させるという役割も、組織が持続的に成長するためには不可欠です。

なぜなら、管理職こそが、先に述べた「個人・仕組み・文化」という3つの壁を乗り越え、組織の成長を加速させるための、最も重要な結節点だからです。

デザインリストのサンプル

管理職が果たすべき3つの役割

  • 個人の壁を超える支援
     部下に直接関わり、スキルと意欲を引き出すことで、個人の成長を最大化します。
  • 仕組みの壁を超える実行
     ルールを形骸化させず、その目的や意図を現場に正しく伝え、実用的に機能させることで、   組織の土台を固めます。
  • 文化の壁を超える橋渡し
     経営層とメンバーの間に立ち、組織のカルチャーを現場の行動レベルまで浸透させます。

しかし、多忙な管理職に「育成が重要だ」とただ伝えるだけでは響きません。
彼らを巻き込むためには、育成が「管理職自身の業務を楽にする」というメリットを伝える必要があります
そして、研修をやりっぱなしにせず、SaaSツールなどを活用して研修後の行動変容を可視化し、継続的にフォローアップする仕組みが不可欠です。

【立場別】明日からできる、人材が育つ組織への第一歩

問題の構造を理解した上で、それぞれの立場から具体的にどのような行動を起こせばよいのでしょうか。
経営者・人事、そして現場マネージャー、それぞれの視点から、明日から実践できるアクションプランをご提案します。

経営者向け|「権限移譲」できる人材を育て、育成の仕組みを再構築する

成長企業の経営者にとって「権限移譲」は大きな壁です。
しかし、組織が成長するためには、社長が現場から一歩引き、未来を創る仕事に集中する時間を作らなければなりません。

権限移譲の前提は、部下を信じ、失敗を許容することです。重要なのは、失敗を責めるのではなく、「失敗から何を学んだか」を問い、PDCAサイクルを回させる姿勢です。

もし、自社だけでの仕組み化が難しいと感じるなら、外部の専門サービスを活用するのも有効な手段です。客観的なデータに基づいた育成サイクルを導入することで、属人的なマネジメントから脱却し、仕組みで組織を成長させる一歩を踏み出すことができます。


成長ベンチャーに特化した組織カルチャー構築プログラム「マネディク」サービス資料 |マネディク|管理職育成支援サービス

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マネージャー向け|部下の主体性を引き出す「フィードバック」の技術

「良かれと思ってアドバイスしたのに、部下の表情が曇ってしまった」。
そんな経験はありませんか?

それは、あなたの「アドバイス」が、部下自身が考える機会を奪う「答え」になってしまっているからです。

部下の主体性を引き出す鍵は、「フィードバック」の技術にあります。
重要なのは、「内容・トーン・タイミング・場所」の4つの要素です。

デザインリストのサンプル

フィードバックの4ポイント

  • 内容:
     「〇〇がダメだ」ではなく、「私は〇〇だと感じた。なぜなら〜」と主観(Iメッセージ)で伝える。
  • トーン:
     厳しい表情で詰問するのではなく、相手の成長を願う温和な態度で対話する。
  • タイミング:
     問題が起きてすぐ感情的に伝えるのではなく、お互いが冷静に話せるタイミングを見計らう。ただし、事象の重要度によってタイミングは考慮する必要あり。
  • 場所:
     内容によって、FBの場所を変える。

特に伝えにくいネガティブフィードバックこそ、これらの技術を駆使することで、相手との信頼関係を深める絶好の機会に変えることができるのです。

事例から学ぶ|「人材が育つ会社」は何が違うのか?

ここでは、属人的な育成から脱却し、仕組みによって組織的な育成体制を築いたあるベンチャー企業の事例をご紹介します。

属人的育成から脱却し、仕組みで成長を加速させたカラクリ株式会社の事例

(事例ページ:https://service.manadic.com/case/8

AIチャットボットで急成長を遂げるカラクリ株式会社。事業拡大に伴い、多くの新任マネージャーが生まれましたが、育成の「共通言語」がなく、マネジメントが属人化しているという課題に直面していました。

そこで同社は、マネジメントの「型」をインストールするためマネディクを導入。
管理職の役割を再定義し、メンバーとの向き合い方を体系的に学ぶ機会を設けました。結果、管理職は自信を持って部下育成に取り組めるようになり、組織全体の育成力が向上。次の事業拡大フェーズに向けた強固な土台を築くことに成功しました。

まとめ|本気で組織を変えたいなら、育成の「仕組み」に投資を

「人材が育たない」という問題は、決して一人の社員や一人の管理職の問題ではありません。
それは、組織の「仕組み」と「文化」が引き起こす、構造的な課題です。

この課題を解決するためには、関係者がそれぞれの立場で役割を果たし、三位一体で取り組む必要がありま

しかし、自社だけで育成の仕組みや文化をゼロから作り上げるのは、決して容易なことではありません。
私たちマネディクは、300社以上の成長ベンチャーを支援してきた知見を基に、管理職育成を通じて、事業が成長するためのカルチャー作りをサポートしています。
もし、あなたの会社が「人が育ち続ける組織」へと本気で変革したいと願うなら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。


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川﨑 俊介
記事を書いた人
川﨑 俊介

新卒で当時6期目(60~70名規模)の株式会社ジーニーへ入社。入社後3年間でリーダー、マネ―ジャー、部長とマネジメント経験を積み、入社後4年目で事業責任者兼執行役員に就任。組織も300名を超え、グロース上場を経験。 その後海外事業など含む複数事業の責任者、常務執行役員を経て、2022年に取締役に就任。経営企画や人事などコーポレート領域も管掌。組織規模としても1000名を突破。 2024年4月に独立し、個人で人事・経営コンサル業も成長企業に対して実施しつつ、同年12月にマネディク株式会社CEO/アクシス株式会社取締役COOにも就任。

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