組織開発

ワークエンゲージメントとは?構成要素・測定方法・高め方を体系的に解説

ワークエンゲージメントとは?構成要素・測定方法・高め方を体系的に解説
目次

「エンゲージメントを高めたい」という声は多いですが、そもそもワークエンゲージメントの定義を正確に理解している企業は意外と少ないのが実情です。

従業員エンゲージメントと混同したまま施策を導入し、測定しても結果の読み解き方がわからず放置する。こうした状態では、いくらサーベイを繰り返しても組織は変わりません。

本記事では、ワークエンゲージメントの学術的な定義と3つの構成要素から、代表的な測定尺度UWESの活用法、そして組織として取り組むべき具体的な向上施策まで体系的に解説します。

マネディクが300社以上の成長企業を支援してきた知見も交えながら「測って終わり」ではない実践的なアプローチを示していきます。

ワークエンゲージメントとは

ワークエンゲージメントは、組織の生産性や離職防止を考えるうえで避けて通れない概念になっています。

ただ、定義を曖昧なまま語っている企業が多いのも事実です。ここではまず学術的な定義を正確に押さえた上で、混同されやすい類似概念との違いを明確にします。

定義と3つの構成要素(活力・熱意・没頭)

ワークエンゲージメントとは、仕事に対するポジティブで充実した心理状態を指します。オランダ・ユトレヒト大学のSchaufeli(シャウフェリ)教授らが2002年に提唱した概念です。

厚生労働省も「仕事にやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ている状態」と定義しています。具体的には、以下の3つの要素で構成されます。

  • 活力(Vigor):仕事中の高い水準のエネルギーと精神的な回復力を意味します。困難な状況でも粘り強く取り組み、仕事に対して積極的に努力を投入できる状態です
  • 熱意(Dedication):仕事への強い関与と、仕事に意義や誇りを感じている状態を指します。自分の仕事が組織や社会に貢献しているという実感があり、仕事に対して情熱を持てています
  • 没頭(Absorption):仕事に完全に集中し、時間の経過を忘れるほど深く入り込んでいる状態です。仕事から離れることが難しいと感じるほどの没入感があります

重要なのは、この3つの要素が「一時的な感情」ではなく「持続的かつ広範な心理状態」として定義されている点です。

特定のプロジェクトや上司との関係だけで左右される一過性のものではなく、仕事全般に対する安定した肯定的感情を指しています。

従業員エンゲージメントとの違い

ワークエンゲージメントと従業員エンゲージメント。この2つは頻繁に混同されますが、焦点が根本的に異なります。

ワークエンゲージメントは「個人と仕事の関係」に焦点を当てた学術概念です。仕事そのものに対してどれだけポジティブな心理状態にあるかを測定します。

所属する組織が変わっても、仕事内容が同じであれば高い水準を維持できる可能性があります。

一方、従業員エンゲージメントは「個人と組織の関係」に焦点を当てたビジネス概念です。

会社のビジョンへの共感、組織への帰属意識、貢献意欲など、所属組織に対するコミットメントの強さを測ります。コンサルティング会社や調査機関がそれぞれ独自に定義しており、学術的な統一定義がないのも特徴の1つです。

実務上、この違いを理解することには明確な意味があります。仕事内容に不満はないが会社には愛着がないケース、会社は好きだが仕事自体にやりがいを感じていないケース。それぞれ打つべき施策はまったく異なります。

マネディクが支援してきた企業でも、この区別がついていないまま「エンゲージメント向上」を掲げて研修を導入し、効果が出ないという相談は少なくありません。

バーンアウト・ワーカホリズムとの関係

ワークエンゲージメントの概念をより正確に理解するためには、対極にある2つの概念との位置関係を知っておく必要があります。

バーンアウト(燃え尽き症候群)はワークエンゲージメントの「正反対」

バーンアウトは疲弊(活力の欠如)、冷笑(熱意の欠如)、効力感の低下(没頭の欠如)を特徴とします。

ワークエンゲージメントが高い状態は、バーンアウトのリスクを低減させることが複数の研究で示されています。

ワーカホリズムとの決定的な違いは「動機」にある

ワーカホリズムはワークエンゲージメントとの区別がより難しいと言えます。どちらも「仕事に多くの時間とエネルギーを投入している」という点では共通するからです。

ワークエンゲージメントが高い人は内発的動機づけに基づいて働いています。仕事そのものが楽しく、意義を感じているから没頭します。

一方、ワーカホリズムの人は強迫的な衝動に駆られて働いています。「働かないと不安」「止められない」という義務感や罪悪感が行動の源泉になっています。

結果として、ワークエンゲージメントが高い人は仕事からの回復が早く、メンタルヘルスも良好な傾向があります。ワーカホリックな人は長時間労働にもかかわらず心身の健康を損ないやすくなります。

外から見ると同じように精力的に働いているように見えても、その内実は全く異なります。組織のマネジメントにおいて、この区別は極めて重要です。

「長時間働いている社員はエンゲージメントが高い」という誤解は、実際にはワーカホリズムを見逃しバーンアウトへの移行を許してしまう危険性があります。

ワークエンゲージメントが注目される背景

ワークエンゲージメントが経営テーマとして急浮上したのは、ここ数年のことです。背景にあるのは、労働市場の構造変化と人的資本経営への転換という2つの大きな潮流になります。

厚生労働省が示す生産性との関連データ

厚生労働省は令和元年版労働経済の分析(労働経済白書)で、ワークエンゲージメントを主要テーマの1つとして取り上げました。

同白書では「働きがい」をワークエンゲージメントの観点から分析し、働きがいの高さが労働生産性の向上や定着率の改善と相関関係にあることを示しています。

具体的には、ワークエンゲージメントが高い従業員ほど新入社員の定着率が高く、従業員の能力が最大限に発揮される傾向が確認されています。

厚生労働省の働き方・休み方改善ポータルサイトでも、ワークエンゲージメント向上の効果として「組織に対する従業員からの信頼向上」「従業員が健康に活き活きと働き続けられる」ことを挙げています。

ただ、ここで見落としてはならないのは、この相関関係は「ワークエンゲージメントを高めれば自動的に生産性が上がる」という単純な因果関係を意味しないという点です。

後述する「仕事の資源」と「個人の資源」の両面から組織環境を整えて初めて、ワークエンゲージメントの向上を通じた生産性改善が実現します。

日本企業のスコアが低い構造的な理由

Gallup社の「State of the Global Workplace」によると、日本のワークエンゲージメントスコアは継続的に低い水準にとどまっています。

これは単に「日本人は謙虚だから自己評価が低い」という文化的バイアスだけでは説明しきれない構造的な問題を内包しています。

1つ目の要因は、評価制度の減点主義です。日本企業の多くは「失敗しないこと」を暗黙の評価基準にしています。

マネディクが支援してきた企業でも、成果を出したマネージャーよりも「問題を起こさなかったマネージャー」のほうが評価されるという構造は珍しくありません。この環境下では、仕事に対するポジティブな感情は育ちにくくなります。

2つ目は、裁量権の不足です。日本企業では意思決定プロセスが多層的で、現場の裁量が限定される傾向が強いと言えます。根回しや稟議を経なければ動けない環境では、仕事への主体的な関与感は低下します。

3つ目は、フィードバック文化の欠如です。「できて当たり前、できないと指摘される」という環境では、仕事から得られる達成感や成長実感が乏しくなります。

ポジティブなフィードバックが日常的に交わされる組織と、そうでない組織では、ワークエンゲージメントの水準に明確な差が生まれます。

これらの要因はいずれも組織の仕組みに起因する問題であり、個人の気合いや精神論で解決できるものではありません。

優秀な人材の離職が組織に与える影響についてはなぜ、ベンチャーでは優秀な人材から辞めていくのか?ベンチャー特有の原因と対策を視点別で解説で詳しく解説しています。

人的資本経営における開示項目としての位置づけ

2023年3月期から、上場企業は有価証券報告書において人的資本に関する情報を開示することが義務化されました。

ISO30414(人的資本に関する情報開示のガイドライン)でもエンゲージメントは重要な開示項目の1つとして位置づけられています。

この流れにより、エンゲージメントは「あったらいいもの」から「測定し開示すべきもの」へと性格が変わりました。

投資家や株主も企業の持続的な成長力を判断する材料としてエンゲージメントデータに注目しており、経営の中核的な指標としての位置づけが強まっています。

ただ、開示義務の存在が先行して「まずサーベイを導入しよう」という表面的な対応に留まる企業も少なくありません。

数字を測って報告することが目的化してしまうと、実際の組織改善にはつながりません。測定は起点でありゴールではないという認識が重要です。

ワークエンゲージメントの測定方法と尺度

ワークエンゲージメントの現状を把握するには、科学的に妥当性が検証された尺度を使った測定が不可欠です。

ここでは代表的な3つの測定手法を紹介し、測定結果を施策に接続するための読み解き方まで踏み込んで解説します。

UWES(ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度)の概要と質問項目

UWES(Utrecht Work Engagement Scale)は、ワークエンゲージメント研究の第一人者であるSchaufeli教授らが開発した最も広く使用されている尺度です。

日本語版は慶應義塾大学の島津明人教授らによって標準化されています。UWESには17項目版と9項目短縮版があり、活力・熱意・没頭の3因子をそれぞれ測定する構造です。

各項目に対して「まったくない(0点)」から「いつも感じる(6点)」の7段階で回答します。代表的な質問項目は以下のとおりです。

活力に関する項目では「仕事をしていると活力がみなぎるように感じる」「朝目が覚めるとさあ仕事へ行こうという気持ちになる」といった内容が問われます。

熱意に関する項目では「自分の仕事に誇りを感じる」「仕事は私に活力を与えてくれる」などが含まれています。

没頭に関する項目では「仕事をしていると、つい夢中になってしまう」「仕事をしていると時間がたつのが速い」といった質問が設定されています。

UWESの強みは、学術的な信頼性と妥当性が世界各国の研究で繰り返し検証されている点にあります。日本語版も高い内的整合性が確認されており、産業界での活用実績も豊富です。

MBI-GSとOLBIによる間接測定

UWES以外にも、ワークエンゲージメントを間接的に測定する手法が存在します。代表的なものが以下の2つです。

MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)は、元来バーンアウトを測定するために開発された尺度です。

バーンアウトとワークエンゲージメントは対極の概念であるため、MBI-GSのスコアが低い(バーンアウト傾向が低い)ことをもって、間接的にワークエンゲージメントが高い状態と推定する手法があります。

OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)も同様にバーンアウトの測定尺度ですが、MBI-GSと異なり肯定的・否定的な両方向の質問項目を含んでいます。

そのため、バーンアウトからワークエンゲージメントまでの連続体をより精密に測定できるとされています。

ただし、いずれもワークエンゲージメントを直接測定する手法ではありません。自社の目的に照らして、直接測定(UWES)と間接測定(MBI-GS、OLBI)のどちらが適しているかを判断する必要があります。

多くの場合、初めてワークエンゲージメントを測定する企業にはUWESの活用を推奨します。

測定結果を施策につなげる読み解き方

測定自体は手段であり、スコアを出して終わりでは意味がありません。重要なのは、測定結果をどう読み解きどのような施策に接続するかです。

まず、全社平均のスコアだけを見ていても打ち手は見えてきません。部門別、階層別、入社年次別にスコアを分解して初めてどこに課題があるかの解像度が上がります。

たとえば、特定の部門だけスコアが低い場合はその部門のマネジメント環境に問題がある可能性が高いと言えます。

入社3年目以降で急落している場合はキャリア停滞感が原因として考えられます。管理職層のスコアが一般社員より低い場合は、管理職への支援体制そのものを見直す必要があります。

活力・熱意・没頭の3因子を個別に見ることも有効です。活力が低ければ業務負荷や労働時間の問題、熱意が低ければ仕事の意義や役割の明確さの問題を疑います。

没頭が低ければ業務の中断要因や集中できる環境の問題が考えられます。こうした因子別の分析が具体的な施策の方向性を示してくれます。

自社の課題がどこにあるかの解像度を上げた上で、次章で解説する「仕事の資源」「個人の資源」のどちらにテコ入れすべきかを判断していきます。

マネディクが300社以上の組織を支援してきた経験から言えるのは、スコアそのものよりも「スコアが示す行動パターンの偏り」に着目するほうが打ち手の精度が上がるということです。

たとえば活力のスコアが低い部門では、長時間労働の是正よりも「マネージャーが部下のタスクを適切に交通整理できているか」を検証するほうが効果的なケースが多くなります。

この一連のプロセスを自社の中で完結させられるかどうかが、エンゲージメント施策の成否を分けます。自社の現状を正確に把握し、打ち手の優先順位を決める際には以下の資料も参考になります。

エンゲージメント改善 実践チェックシート

ワークエンゲージメントを高める方法

ワークエンゲージメントの向上に必要な要素は、学術的に「仕事の資源」と「個人の資源」の2つに大別されています。

どちらか一方ではなく、両面からのアプローチが必要です。加えて、従業員自身が主体的に仕事を再設計する「ジョブ・クラフティング」も近年注目を集めています。

仕事の資源を整える(裁量権・フィードバック・上司支援)

仕事の資源(Job Resources)とは、仕事の目標達成を促進し、身体的・心理的な負担を軽減し、個人の成長を刺激する組織的な要因のことです。

代表的な仕事の資源は以下の3つです。それぞれの要素がワークエンゲージメントの水準に直接影響します。

  • 裁量権:自分の仕事の進め方やスケジュールをある程度自分で決められることです。ただし経験や能力が不足している段階で過度な裁量権を渡しても機能しません
  • フィードバック:上司や同僚からの建設的なフィードバックを指します。仕事の意義を実感し自己成長を促します。「頻度」と「質」の両方が重要で、年2回の評価面談だけでは不十分です
  • 上司からの支援:業務上の困りごとに対するサポートだけでなく、キャリアに関する対話や組織の方向性を翻訳して伝える役割も含まれます

マネディクの支援先でも、権限委譲がうまくいく企業は例外なく「任せる範囲」と「報告・確認する基準」を明確に定義しています。

日常的な業務の中で具体的な行動に対して即時にフィードバックが返ってくる仕組みが必要になります。

マネージャーが部下の課題を自分だけで抱え込まず、必要に応じて他の部署やより上位の役職者の力を借りながら解決にあたる姿勢が、結果としてチーム全体のエンゲージメントを底上げします。

フィードバックの具体的な手法については部下へのフィードバックが難しいと感じるあなたへ。部下の成長を加速させる実践的テクニックで解説しています。

個人の資源を開発する(自己効力感・レジリエンス)

個人の資源(Personal Resources)とは、ストレスフルな状況をコントロールし環境にうまく働きかける力に関わる個人内の要因です。

中心的な要素は自己効力感(Self-efficacy)。「自分はこの仕事をやり遂げられる」という確信のことです。

自己効力感が高い人ほど困難な状況でも粘り強く取り組み、結果としてワークエンゲージメントも高い傾向があります。

自己効力感を高める最も効果的な方法は「成功体験の蓄積」です。小さくても達成可能な目標を設定し、クリアした事実を本人が認識できるようにします。

観察学習(ロールモデルの行動を見て学ぶ)や上司からの言語的説得(「できるよ」という声かけ)も補助的に機能しますが、やはり本人の実体験に勝るものはありません。

レジリエンス(回復力)も重要な個人の資源です。失敗や逆境から素早く立ち直り、そこから学びを得る力を指します。この力は生まれつきの性格特性ではなく、トレーニングによって開発可能であることが研究で示されています。

ただし、個人の資源の開発を「個人の責任」として丸投げするのは誤りです。自己効力感もレジリエンスも、組織の環境(仕事の資源)が整っていて初めて発揮されます。

心理的安全性がない環境で「失敗から学べ」と言われても機能しません。仕事の資源と個人の資源は相互に影響し合う関係にあり、一方だけを強化しても効果は限定的です。

ジョブ・クラフティングで仕事を主体的に再設計する

ジョブ・クラフティング(Job Crafting)とは、従業員自身が仕事のやり方や人間関係、仕事に対する認知を主体的に変えていく行動のことです。

組織が環境を整える「仕事の資源」のアプローチとは異なり、個人が自ら動くボトムアップ型の取り組みになります。

ジョブ・クラフティングには以下の3つのタイプがあり、それぞれアプローチの方向性が異なります。

  • タスク・クラフティング:業務の範囲や進め方を自分で調整することです。たとえば定型業務を効率化して空いた時間で新しいプロジェクトに関与するといった行動が該当します
  • 関係性クラフティング:仕事上の人間関係のあり方を変えることを指します。他部署のメンバーとの協業を自発的に始める、顧客との接点を増やすなどがこれにあたります
  • 認知クラフティング:仕事に対する意味づけを変えることです。「ルーティンワーク」と捉えていた業務を「組織の基盤を支える重要な仕事」と再定義するような認知の転換を指します

ジョブ・クラフティングが機能するためには、前提としてある程度の裁量権が従業員に与えられている必要があります。

マニュアル通りにしか動けない環境では、クラフティングの余地がありません。これもまた仕事の資源との連動が不可欠であることを示しています。

ワークエンゲージメント向上の実践ステップ

概念を理解し測定方法を知っただけでは組織は変わりません。ここでは測定から施策実行、効果検証までの一連のプロセスを実務の流れに沿って解説します。

現状把握:サーベイ設計と実施のポイント

サーベイの目的は「組織の健康診断」です。まず何を知りたいのかを明確にしてから設計に入ります。

UWESの9項目短縮版をベースにしつつ、自社固有の関心事項(たとえば特定の制度変更後の影響を把握したいなど)を追加する方法が実務的には効率がよいと言えます。

ただし、設問数が多すぎると回答の質が下がります。全体で20〜30問程度に収めるのが目安です。

実施にあたっての最大のポイントは匿名性の担保です。「自分の回答が上司に特定されるのではないか」という懸念があると、正直な回答は得られません。

特に従業員数が少ない部門では、回答結果の集計単位を工夫するなどの配慮が必要になります。

実施頻度は年1〜2回が一般的ですが、簡易版のパルスサーベイ(5項目程度)を月次で実施し定点観測する企業も増えています。

重要なのは1回の精密な測定よりも、継続的なモニタリングによって変化の兆候を早期に捉えることです。

課題特定:部門別・階層別のスコア分析

サーベイの結果を全社一括で集計しても、打つべき施策の解像度は上がりません。まず部門別にスコアを比較します。

同じ会社でも部門によってワークエンゲージメントの水準にはかなりのばらつきがあります。

スコアが低い部門には個別のヒアリングを実施し、何がエンゲージメントを阻害しているかを特定します。

次に階層別の分析です。一般的に管理職層のスコアは一般社員より高い傾向がありますが、中間管理職(課長クラス)で顕著に低下するケースも珍しくありません。

プレイヤーからマネージャーへの移行期に適切な支援がなく、業務負荷だけが増えている状態です。

入社年次別の分析も有効です。入社直後は高かったスコアが3年目以降に急落するパターンは多くの企業で見られます。成長実感の鈍化やキャリアの見通しの不透明さが要因であることが多いと言えます。

これらのデータを踏まえて「どの層の、どの要因に、どの順番でテコ入れするか」の優先順位を決めます。全方位に一斉に手を打とうとすると、どの施策も中途半端に終わります。

1on1の形骸化も、課題特定の段階でよく浮上するテーマです。制度としては存在するが機能していないケースは少なくありません。


1on1の形骸化はなぜ起こる?原因と対策を立場別に徹底解説

1on1が形骸化する根本原因と、すぐに実践できる具体的な対策を解説します。現場のマネージャー、制度に悩む人事、組織課題を抱える経営者、それぞれの立場で「何をすべきか」が明確に分かります。この記事を読めば、非生産的な時間をなくし、部下の成長と組織の活性化に繋がる1on1を実現できます。

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施策実行:1on1とフィードバックを起点にした改善サイクル

ワークエンゲージメントの向上施策として最もレバレッジが効くのはマネージャーの行動変容です。

なぜなら、仕事の資源の大部分はマネージャーを通じて従業員に届くからです。裁量権の設定、フィードバックの頻度と質、キャリアに関する対話。いずれもマネージャーの行動が起点になります。

具体的な第一歩として推奨するのは、1on1ミーティングの目的の再定義です。1on1を「進捗確認の場」にしてしまうと部下は本音を話さなくなります。

1on1の最も重要な目的は、部下が今どのような状態にあるかを把握し想定外の離職を防ぐことにあります。

マネディクの支援先では「キャリア支援も成長支援も1on1で全部やろう」としてアジェンダが肥大化し、結局どれも中途半端になる事例が後を絶ちません。

1on1に多くの目的を詰め込むのではなく、まずは「部下のコンディションの変化を察知する」という一点に集中するほうが実効性は高くなります。

言動や表情の変化を捉える意識は、マネジメント経験の浅い管理職でも意識次第で実践できます。

次に取り組むべきは、フィードバックの日常化です。評価面談の場で半年分をまとめてフィードバックするのではなく、日常の中で即時に伝えます。

「この行動はよかった」「ここはこう変えるとより効果的」といった具体的なフィードバックを習慣にすることが重要です。

これらの取り組みを通じてマネージャーが「経営の思想を現場の行動に翻訳する」役割を果たせるようになると、チーム全体のワークエンゲージメントは着実に向上していきます。

施策の効果は次回のサーベイで検証し改善を繰り返します。このPDCAサイクルを回し続けることが、一過性ではない持続的なエンゲージメント向上の条件です。

ワークエンゲージメントに関するよくある質問

ワークエンゲージメントとモチベーションの違いは何ですか?

モチベーションは「行動を起こす動機づけ」であり、外的報酬(給与、昇進)でも喚起される一時的な意欲を含みます。

ワークエンゲージメントは仕事そのものに対する持続的なポジティブ感情であり、活力・熱意・没頭の3要素で構成されています。

モチベーションは行動の「きっかけ」、ワークエンゲージメントは仕事に対する「状態」という違いがあります。

ワークエンゲージメントが低い原因は何ですか?

主な原因は「仕事の資源の不足」です。上司からの支援やフィードバックが乏しい、裁量権がない、仕事の意義が感じられないといった環境要因がスコアを押し下げます。

個人側の要因としては、自己効力感の低さやスキルと業務のミスマッチも影響します。まずサーベイで現状を可視化し、どの要因が最も影響しているかを特定することが対策の第一歩になります。

働きがいとワークエンゲージメントは同じ意味ですか?

厳密には異なります。「働きがい」は日常用語であり学術的な定義がありません。仕事内容への満足、職場の人間関係、報酬への納得感など多様な要素を包含する曖昧な概念です。

ワークエンゲージメントは活力・熱意・没頭の3要素に限定して定義された学術概念であり、UWESなどの標準化された尺度で測定できます。

厚生労働省は「働きがい」をワークエンゲージメントの視点から分析しており、両者は関連しますが完全に同義ではありません。

ワークエンゲージメントの質問項目にはどのようなものがありますか?

代表的なUWES-9(短縮版)の質問項目として、活力では「仕事をしていると活力がみなぎるように感じる」「朝目が覚めるとさあ仕事へ行こうという気持ちになる」があります。

熱意では「自分の仕事に誇りを感じる」「仕事は私に活力を与えてくれる」、没頭では「仕事をしているとつい夢中になってしまう」「仕事をしていると時間がたつのが速い」などが含まれています。

各項目に0〜6点の7段階で回答する形式で、スコアの平均値によって組織全体の傾向を把握できます。

ワークエンゲージメントは「活力」「熱意」「没頭」の3要素で構成される学術概念であり、従業員エンゲージメントやモチベーションとは焦点が異なります。

測定にはUWESを活用し、部門別・階層別にスコアを分解して課題を特定した上で「仕事の資源」と「個人の資源」の両面からアプローチすることが重要です。

マネージャーの行動変容を起点に1on1やフィードバックの質を高め、PDCAサイクルを回し続けることが持続的なエンゲージメント向上につながります。

自社の現状を正確に把握し、具体的な一歩を踏み出すために以下の資料も活用してください。

エンゲージメント改善 実践チェックシート

川﨑 俊介
記事を書いた人
川﨑 俊介

新卒で当時6期目(60~70名規模)の株式会社ジーニーへ入社。入社後3年間でリーダー、マネ―ジャー、部長とマネジメント経験を積み、入社後4年目で事業責任者兼執行役員に就任。組織も300名を超え、グロース上場を経験。 その後海外事業など含む複数事業の責任者、常務執行役員を経て、2022年に取締役に就任。経営企画や人事などコーポレート領域も管掌。組織規模としても1000名を突破。 2024年4月に独立し、個人で人事・経営コンサル業も成長企業に対して実施しつつ、同年12月にマネディク株式会社CEO/アクシス株式会社取締役COOにも就任。

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