新入社員研修の外部委託|内製との分け方と委託先の選び方

新入社員研修の外部委託|内製との分け方と委託先の選び方
目次

新入社員研修の外部委託は、全部を外に出すか内製するかではなく、何を外に出し何を社内に残すかで成果が変わります。

300社以上の成長企業を支援してきた視点で、外部委託のメリット・デメリット、委託先の選び方、少人数採用で使いやすい合同研修の活用法を解説します。

新入社員研修の外部委託は内製との分担で決める

外部委託を検討する人事担当者の多くが、全部を研修会社に任せるか、全部を自社でやるかで比べています。

ただ、成果が出ている会社は二択で考えていません。誰が言うと新卒に伝わるかで領域を分け、外部と社内で役割を分担しています。

外部委託に向く領域

外部に出すと効果が上がるのは、社会人としての基準と、仕事の進め方のスタンスです。指摘を素直に受け取る、悪い報告を最速で上げるといった行動の基準で、正解を待たずに仮説を持って動くことも含みます。

これらを社内の先輩が教えると、教える側の普段の振る舞いと比べられ、基準として届きにくくなります。厳しい指摘を上司がすれば、ハラスメントを懸念して言葉を選ぶうちに基準が下がりがちです。

評価関係のない第三者が伝えると、新卒は個人への注意ではなく、ビジネスの一般的な基準として受け取ります。

もう1つは、他社の同世代との比較です。社内に同期が少ない会社では、新卒が自分の現在地を測る相手がいません。他社の新卒と同じ課題に取り組む場は、社内でどう工夫しても用意できない環境です。

社内に残す領域

社内に残すべき領域もはっきりしています。経営理念と事業の理解、自社の商材や業務の手順、配属先でのOJTの3つです。

理念や事業の話は、研修会社の講師が上手に話しても、経営者が自分の言葉で語るほどの重みは出ません。業務の手順も、自社のツールや顧客を知る先輩が教えるのが最短です。

注意したいのは、配属先のOJTまで外部に任せたつもりになることです。研修で基準を入れても、配属先の上司が同じ基準でフィードバックしなければ、新卒は数ヶ月で職場の基準に戻ります。

外部の知見を借りても、育成の手綱を握るのは会社側です。OJT担当者の負担が重い場合は、OJTに余裕がない原因と解決策で負担の減らし方を整理しています。

研修全体を何で構成するかを決める段階であれば、以下の記事でカリキュラムを3つの区分に分けて解説しています。


新入社員研修の内容とカリキュラム例|新卒研修の設計手順

新卒研修のカリキュラムをどう設計すればよいか、本記事では3種類の研修内容・期間の目安・設計の手順を、300社以上の支援実績をもとに解説します。

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新卒の人数で変わる委託の形

外部委託といっても形はいくつかあり、新卒の人数と目的で向き不向きが変わります。

委託の形

向く状況

強み

注意点

内製(社内講師)

新卒が毎年10名以上いて、研修の担当者を置ける

自社の文脈をそのまま教えられる

講師役の負担が大きく、教える人によって基準がばらつく

公開講座

1〜数名で、ビジネスマナーのような基礎を短期間で入れたい

1名から申し込め、日程を選べる

当日で完結する講座が多く、配属後の行動までは追わない

合同研修(他社合同型)

1〜数名で社内に同期がいない。基準と実践の両方を入れたい

他社の同世代と比べられ、複数回の間に現場での実践を挟める

日程が決まっており、自社向けに内容を変える余地は小さい

講師派遣(個社型)

10名以上で、内容を自社向けに作り込みたい

自社の課題に合わせて設計できる

人数が少ないと1人あたりの費用が上がる

eラーニング

知識のインプットを各自のペースで進めたい

何度でも見返せる

行動の変化や仕事への向き合い方は確かめにくい

数名の採用であれば、基礎知識は公開講座やeラーニング、基準と実践は合同研修、理念と業務は社内、と組み合わせる形が現実的です。

研修の大半を自社で持ちたい場合の進め方は、研修内製化のおすすめ方法にまとめています。

新卒が少人数で、社内に同期も研修担当もいない会社では、基準の伝達と実践の振り返りをどこに任せるかが最初の壁になります。

以下の資料では、1社1名から参加でき、終日3回の研修と3ヶ月の実践期間を組み合わせた『プロスタ for Freshers』の流れを確認できます。


プロスタ for Freshers|新卒1年目向け合同プログラム 資料

終日3回の対面研修と3ヶ月の実践期間で、ベンチャーで働く基準を第三者の視点と他社の同期との比較から身につける合同研修の資料です。

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新入社員研修を外部委託するメリットとデメリット

産労総合研究所「2026年度(第50回)教育研修費用の実態調査」では、2026年度に重点的に取り組む階層別教育で最も多かったのは、例年と同じく新入社員教育でした。

それだけ力を入れる研修だからこそ、外部委託の得失を押さえておく必要があります。

外に出すメリットは工数の削減より、社内では作れない条件を得られる点にあります。一方で委託の仕方を誤ると、研修は単発のイベントで終わります。

4〜6月の人事と現場の工数を空けられる

新卒が入る4〜6月は、人事にとって入社手続き、配属調整、次年度の採用が重なる時期です。研修の企画から教材作成、講師、会場の手配までを社内で抱えると、どれかが手薄になります。

現場も同じです。研修講師を現場のエースに頼むと、その間は売上や開発の手が止まります。準備と振り返りを含めると、講師の拘束は研修当日よりかなり長くなります。

社員数の少ない会社ほど、エース1人が講師役で抜ける影響は大きく出ます。

外部に出せば、人事は研修の運営から外れ、配属先との調整と、研修で入れた基準を現場につなぐ役割に時間を使えます。

工数が空くこと自体より、空いた時間を何に使うかを先に決めておくと、外部委託の効果が出やすくなります。

社内では言いにくい基準を第三者が伝えられる

外部委託ならではの価値は、社内の人間が言いにくい基準を、評価関係のない第三者が代わりに伝えられる点です。

指示を待つな、まず量をこなせ、と上司が新卒に言えば、受け取り方次第でハラスメントを心配する時代です。その結果、上司は言葉を選び、新卒は自分が何を求められているのかを知らないまま配属されます。

同じ内容でも、社外の講師がビジネスの標準として伝えると、新卒は個人攻撃ではなく一般的な基準として受け取ります。

マネディクが新卒を送り出した会社に研修後に聞いた声でも、上司や先輩ではなく外部の言葉なので納得している、との趣旨の回答がありました。

ただし、厳しさは人格ではなく行動に向けることが前提です。姿勢を責めるのではなく、依頼を受けたら完了の条件を先に確認する、のように観測できる行動で伝えます。

自社の文脈とずれ、研修が単発で終わる

外部委託のデメリットは2つあります。1つは自社の文脈とのずれです。講師は一般論で教えるため、自社が大事にしてきた独自の基準と食い違うことがあります。

ずれを放置すると、分かりやすい一般論の方に新卒がなびき、社内の基準がぼやけます。

もう1つは、研修が単発のイベントで終わることです。集合研修で熱量が上がっても、配属先で同じ行動を求められなければ、学んだことは使われずに消えます。

対処は2つです。委託前に、研修後に求める行動を委託先と共有すること。そして研修のあとに、実践と振り返りの期間を設けることです。

自社で求める行動を3つ書き出して講師に渡すだけでも、一般論とのずれは大きく減ります。研修を行動の変化につなげる仕組みは、研修で行動変容を促すにはで詳しく解説しています。

新入社員研修の委託先を選ぶ4つの確認点

委託先の候補を比べるとき、カリキュラムの項目数や講師の経歴に目が向きがちです。

しかし、配属後の行動が変わるかどうかは、研修の前後の設計で決まります。見積もりを取る段階で次の4点を候補ごとに確かめておくと、比較の軸がぶれません。

研修後の実践期間まで設計に入っているか

1回きりの研修か、研修の間に現場での実践を挟む設計かで、成果は大きく変わります。新卒は学んだ行動を配属先で試し、うまくいかなかった理由を振り返って、初めて自分のものにします。

候補に聞く質問は3つです。研修と研修の間に何をするのか。実践した内容を誰がどう振り返るのか。研修後の変化を何で確かめるのか。

答えが研修直後のアンケートで止まる場合、その研修は当日で完結する設計です。

研修の日に理解したことと、配属先で実際にできることの間には、思っている以上に距離があります。その距離を埋めるのが、実践と振り返りの期間です。

基礎知識の習得が目的なら当日完結で足りますが、仕事の進め方を変えたいなら、数ヶ月の実践期間を含む委託先の方が合います。

配属先の上司が関われる仕組みがあるか

新入社員研修の成果を最も左右するのは、研修の外にいる配属先の上司です。上司が研修の中身を知らなければ、新卒が学んだ行動を職場で試しても、認めることも直すこともできません。

確かめたいのは、受講者ごとのレポートが上司に渡るか、上司がフィードバックを返す仕組みがあるかの2点です。

行動の項目ごとに本人と上司がそれぞれ評価をつけるスキルマップがあれば、上司は何を見て何を認めればよいかが分かります。

一方で、上司の負担が増えるのも事実です。上司に何をいつ求めるのかを委託先が事前に説明してくれるかも確かめておくと、配属後に運用が止まるのを防げます。

上司向けの説明会や、レポートの読み方の案内があれば、なお運用に乗りやすくなります。

厳しさを人格でなく行動に向けているか

社内で言いにくい基準を伝えてほしくて外部に出す場合、研修の厳しさの中身を見極める必要があります。

避けたいのは、大声や長時間の拘束で追い込む研修です。新卒が萎縮し、学んだのは理不尽への耐え方だけ、となりかねません。早期離職の引き金にもなります。

見極めるには、講師が受講者にフィードバックする場面の具体例を聞きます。

当事者意識が足りない、のような人格への評価で終わるのか。依頼の背景を聞かずに着手したので手戻りが出た、のように行動と結果で伝えるのか。この違いで研修の質は判断できます。

レベル差で自信をなくす新卒が出たとき、講師が個別に話を聞く場があるかも確かめておきます。厳しい基準を示しつつ、受け止めきれない新卒を放置しない設計かどうかが、外部に任せられるかの分かれ目です。

費用は1日単価ではなく成果の定義で比べる

費用を比べる前に、世間の水準を押さえておくと稟議の根拠を作りやすくなります。

産労総合研究所の2026年度調査によると、2025年度の従業員1人あたりの教育研修費用は平均39,753円で、前年度より3,717円増えています。

業界団体が会員社向けに開く新入社員セミナーの例では、日本広告業協会の第53回新入社員教育セミナーが、2026年4月の4日間で受講料1名44,000円(税込)でした。

ただ、1日あたりの単価で比べると、実践期間やフォローを含む研修ほど割高に見えます。研修の投資対効果は委託先に委ねるものではなく、会社が定義するものです。

研修後にどんな行動をとる新卒が何人増えれば元が取れるかを先に決めておけば、単価ではなく成果で委託先を比べられます。

合同研修を外部委託先に選ぶときの使い方

外部委託の形のうち、少人数採用の会社にとって選択肢になりやすいのが、複数の会社の新卒が一緒に受ける合同研修です。1名から参加できる一方、使い方を誤ると他社の新卒と同じ場にいただけで終わります。

マネディクが26卒回で15社40名の新卒を受け入れた経験から、合う会社と運用の要点をまとめます。

合同研修が向く会社

合同研修が力を発揮するのは、次の3つに当てはまる会社です。

合同研修が向く会社

  • 新卒が1〜数名で、社内に同期がいない
  • 研修の担当者がおらず、配属先の上司ごとに指導の基準がばらつく
  • 研修のあとも、現場での実践と上司のフィードバックに時間を割ける

1つ目の他社比較は、合同研修でしか得られない価値です。26卒回の受講者からも、社内に同期が少なく現在地が分からなかったが、他社の新卒と比べて補強する点がはっきりした、との声が複数ありました。

3つ目は見落とされがちです。合同研修は、育成を研修会社にすべて任せたい会社には向きません。実践期間に上司が関わらなければ、研修の日だけ熱量が上がって終わります。

研修の申し込みと同時に、上司が実践期間に割ける時間を確かめておくと判断を誤りません。

合同研修で起きやすい失敗と防ぎ方

合同研修でよく出る懸念は、他社とのレベル差です。自社の新卒が圧倒されて自信をなくす、逆に周りのレベルが低く得るものがない、の両方が起こりえます。

防ぐには、参加企業の層と、講師が事前に受講者と話す機会があるかを確かめます。

参加企業を成長企業に絞っている研修なら、レベルが極端に離れる可能性は下がります。不安が強い新卒も、研修前に講師と面談できれば落ち着いて参加できます。

もう1つの失敗は、運用が会社側で止まることです。26卒回でも、メンターにスキルマップの意義が伝わらず、途中から重い作業になったとの振り返りを、送り出した企業から受けました。

研修の前に、メンターが何をいつ見るのかを人事とすり合わせておくと、この失敗は防げます。

合同研修を配属後のOJTにつなぐ進め方

合同研修の成果を配属後に残すには、会社側が研修前、研修の間、研修後にそれぞれ1つずつ手を打ちます。

  1. 研修前:
    人事と上司で、研修後にしてほしい行動を3つ決め、新卒本人にも伝える
  2. 研修の間:
    週に1回、本人が試した行動と結果を上司と短時間で振り返る
  3. 研修後:
    個人別のレポートをもとに、上司か経営者が1人ずつ面談し、次の3ヶ月の重点を決める

特に研修の間の振り返りは、現場が忙しい時期ほど省かれます。26卒回の受講者が行動できなかった理由として最も多く挙げたのも、忙しさで振り返りが十分にできなかったことでした。

振り返りの時間をあらかじめ上司の予定に入れておくと、研修で入れた基準が職場の基準として定着しやすくなります。

もし新卒が1〜2名で、基準の伝達と実践期間の両方を外部に頼みたいなら、新卒1年目向け『プロスタ for Freshers』の資料で、終日3回の研修と3ヶ月の実践期間の進め方、1名15万円(税別)の費用を確認できます。

新入社員研修の外部委託に関するよくある質問

新入社員研修を外部委託する費用の目安は?

産労総合研究所の2026年度調査では、2025年度の従業員1人あたりの教育研修費用は平均39,753円です。業界団体の新入社員セミナーには1名4万円台の例があり、実践期間を含む研修は単価が上がります。

新入社員が1名だけでも外部研修を使う意味はありますか?

あります。1名採用の会社ほど社内に比べる相手がいないため、他社の新卒と一緒に受ける合同研修の価値が大きくなります。マネディクの『プロスタ for Freshers』も1社1名から参加できます。

外部委託した新入社員研修は助成金の対象になりますか?

厚生労働省の人材開発支援助成金の人材育成支援コースは、職務に関連した知識や技能を習得させる10時間以上のOFF-JTが対象で、中小企業の正規雇用労働者等の経費助成率は45%です。

対象になるかは申請前に労働局で確かめると確実です。

内製と外部委託はどちらが費用を抑えられますか?

講師料だけを見れば内製が安く見えます。ただ、社内講師の準備時間と本業が止まる分を含めると差は縮まります。理念や業務は内製、基準と実践は外部と分けるのが現実的です。

内製の手順は研修内製化のおすすめ方法で解説しています。

研修会社に丸投げしてもよいですか?

丸投げはおすすめしません。研修後に求める行動と、配属先での振り返りは会社にしか決められないためです。外部の知見を使っても、育成の手綱は会社が握ります。

外部研修の効果はどう測ればよいですか?

満足度ではなく、研修前に決めた行動が配属後に出ているかで測ります。行動の項目ごとに本人と上司が評価をつけ、研修前後で比べると変化が見えます。

オンラインの新入社員研修でも効果はありますか?

知識のインプットはオンラインで十分です。他社の同世代との比較や、講師から直接受けるフィードバックは対面の方が伝わりやすいため、目的で形式を分けると効果が出ます。

委託先はいつまでに決めればよいですか?

4月入社の研修なら、前年の秋から冬に候補を比べ、年内に絞り込むと日程と社内調整が間に合います。合同研修や公開セミナーは定員や締切があるため、早めに確かめておくと安心です。

まとめ:新入社員研修の外部委託は分担と実践期間で決まる

新入社員研修の外部委託は、全部を任せるか自社でやるかの二択ではありません。社会人としての基準と他社との比較は外部に、理念と業務とOJTは社内に、と分担を決めるところから始まります。

委託先を選ぶときは、実践期間の設計、上司が関われる仕組み、厳しさの向け先、成果の定義の4点を確かめます。少人数採用の会社は合同研修を使い、研修の前後に会社側が手を打つことで、成果が配属後まで残ります。

マネディクとしては、外部委託の成否は研修会社の選定より、会社が研修後の行動を定義し、手綱を握り続けられるかで決まると考えています。

次の4月に向けて、まずは研修後にしてほしい行動を3つ書き出すところから始めるのが確実です。

研修後の行動を決め、実践期間まで含めて外部に任せたい場合は、以下の資料が比較の材料になります。新卒1年目向け『プロスタ for Freshers』の流れと、会社側にお願いする関わり方をまとめています。


プロスタ for Freshers|新卒1年目向け合同プログラム 資料

終日3回の対面研修と3ヶ月の実践期間で、ベンチャーで働く基準を第三者の視点と他社の同期との比較から身につける合同研修の資料です。

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川﨑 俊介
記事を書いた人
川﨑 俊介

新卒で当時6期目(60~70名規模)の株式会社ジーニーへ入社。入社後3年間でリーダー、マネ―ジャー、部長とマネジメント経験を積み、入社後4年目で事業責任者兼執行役員に就任。組織も300名を超え、グロース上場を経験。 その後海外事業など含む複数事業の責任者、常務執行役員を経て、2022年に取締役に就任。経営企画や人事などコーポレート領域も管掌。組織規模としても1000名を突破。 2024年4月に独立し、個人で人事・経営コンサル業も成長企業に対して実施しつつ、同年12月にマネディク株式会社CEO/アクシス株式会社取締役COOにも就任。

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